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Blenderで3Dプリンター用データを作る方法 — 初心者向けガイド

2026年4月18日Blender, 3Dプリンター, STL, モデリング, 初心者

Blenderは、完全無料で使えるオープンソースの3DCGソフトです。映画やゲームの制作にも使われるプロ級のツールですが、3Dプリンター用のデータ作成にも最適。特にフィギュアやアート作品など、有機的な形状を作りたい人にはBlender一択と言えます。

この記事では、Blenderのインストールから3Dプリンター用STLファイルの出力まで、初心者にもわかりやすくステップごとに解説します。

Blenderが3Dプリンターに向いている理由

数ある3Dモデリングソフトの中で、なぜBlenderが3Dプリンターに向いているのでしょうか?

  • 完全無料 — 商用利用も含めて一切費用がかからない
  • スカルプティング機能 — 粘土をこねるように直感的に形を作れる
  • モディファイア — ミラー、サブディビジョンなど非破壊的な編集が可能
  • 3Dプリント用アドオン — メッシュの問題を自動検出する機能が内蔵
  • 巨大なコミュニティ — チュートリアルや質問できる場所が豊富
  • 日本語対応 — インターフェースを日本語に切り替え可能

Fusion 360が寸法重視の「エンジニアリング的」なアプローチなのに対し、Blenderは「アーティスティック」なアプローチ。作りたいものによって使い分けるのがベストです。

Blenderをインストールする

ダウンロード

blender.org から最新版をダウンロードします。Windows、Mac、Linuxに対応しています。

日本語設定

  1. Blenderを起動
  2. メニューバーの EditPreferences を開く
  3. Interface タブ → Translation にチェック
  4. LanguageJapanese (日本語) に変更
  5. TooltipsInterfaceNew Data にチェック

これでメニューやツールチップが日本語表示になります。

3Dプリント用アドオンを有効化

Blenderには3Dプリント向けの便利なアドオンが標準で付属しています。

  1. EditPreferencesAdd-ons
  2. 検索バーに「3D Print」と入力
  3. Mesh: 3D-Print Toolbox にチェックを入れて有効化

このアドオンを使うと、プリント時に問題になるメッシュのエラー(穴、非多様体、薄すぎる壁など)を自動で検出できます。

最初の3Dモデルを作る — スマホスタンド

いきなり複雑なものを作るのではなく、シンプルなスマホスタンドから始めましょう。

ステップ1: デフォルトのキューブを編集

Blenderを起動すると、画面中央にキューブが表示されます。これをベースにします。

  1. キューブを選択した状態で Tab キーを押して 編集モード に入る
  2. S キー → X キー → 2Enter でX方向に2倍に拡大
  3. S キー → Z キー → 0.3Enter でZ方向に縮小

これで薄い板状の形になります。

ステップ2: スマホを立てかける溝を作る

  1. 上面の辺を選択(辺選択モードで)
  2. Ctrl + R でループカットを追加
  3. カットした辺を G キーで移動して溝の位置を決める
  4. 溝になる面を選択し、E キーで押し出し → 内側に押し込む

ステップ3: 角を丸める

  1. すべての辺を選択(A キー)
  2. Ctrl + B でベベル → マウスを動かして丸みを調整
  3. マウスホイールでセグメント数を増やす(3〜4が目安)

ステップ4: スムーズシェーディング

  1. Tab キーでオブジェクトモードに戻る
  2. オブジェクトを右クリック → スムーズシェーディング
  3. プロパティパネルで Auto Smooth を有効化(角度30〜45度)

フィギュア制作の基本 — スカルプティング

Blenderの真価はスカルプティングにあります。粘土を彫るように3Dモデルを造形できます。

スカルプティングモードに切り替え

  1. キューブを選択
  2. Ctrl + 1〜5 でサブディビジョンを追加(ポリゴンを細かくする)
  3. 画面左上のモード切替から スカルプティング を選択

よく使うブラシ

ブラシ用途
Draw基本の盛り上げ・削り
Clay Strips粘土を重ねるように造形
Smooth表面をなめらかにする
Grab大きく形を引っ張る
Creaseシャープなくぼみを作る
Inflate膨らませる

スカルプティングのコツ

  • 大きい形から小さい形へ — 最初は全体のシルエットを決め、徐々にディテールを追加
  • 対称モードを活用 — X軸対称をオンにすれば、左右同時に造形できる
  • リファレンス画像を使う — 作りたいものの写真を画面に表示しながら作業
  • こまめに保存 — Blenderは重くなりやすいので、バージョン違いで保存

STLファイルとして出力する

モデルが完成したら、3Dプリンター用にSTLファイルとして出力します。

出力前のチェック

3D-Print Toolboxアドオンを使ってメッシュをチェックします。

  1. サイドバー(N キー)の 3D-Print タブを開く
  2. Check All をクリック
  3. 問題があれば修正:

- Non-Manifold: 穴が開いている → 辺を選択して F キーで面を張る

- Overhanging Faces: オーバーハングが大きい → サポート材で対応

- Thin Faces: 壁が薄すぎる → 厚みを追加

スケール(サイズ)の確認

Blenderのデフォルト単位はメートルです。3Dプリンター用には確認が必要です。

  1. プロパティ → シーン タブ → 単位 セクション
  2. 単位系メトリック に設定
  3. スケール0.001(ミリメートル)か 1(メートル)か確認
  4. オブジェクトのサイズが実際にプリントしたいサイズになっているか確認

STLエクスポート

  1. ファイルエクスポートSTL (.stl)
  2. 右側のオプションパネルで確認:

- Selection Only にチェック(選択したオブジェクトだけ出力)

- Scale: 単位に合わせて調整(通常は1.0でOK)

  1. ファイル名を付けて STL をエクスポート をクリック

3Dプリント時の注意点

Blenderで作ったモデルを実際にプリントする際、いくつか注意点があります。

壁の厚さ

最低でも 0.8mm の壁厚が必要です。ノズル径0.4mmのプリンターの場合、2周分の厚さが目安。

オーバーハング

45度以上の突き出しにはサポート材が必要です。できるだけサポート不要な形状に設計すると、後処理が楽になります。

メッシュの密度

ポリゴン数が多すぎるとSTLファイルが巨大になり、スライサーソフトの処理が遅くなります。デシメートモディファイア を使って、見た目を保ちつつポリゴン数を減らしましょう。

底面の平坦性

プリントする際にビルドプレートに接する面は平坦である必要があります。モデルの底面が平らになっているか確認しましょう。

おすすめの学習リソース

Blenderは機能が豊富なぶん、学習曲線がやや急です。以下のリソースを活用して効率よく学びましょう。

  • Blender公式チュートリアルdocs.blender.org で基本操作を学べる
  • YouTube — 「Blender 3Dプリンター」で検索すると日本語チュートリアルが多数
  • Blender Guru — 英語ですが、初心者向けの定番チュートリアルシリーズ(ドーナツチュートリアル)
  • Blender日本語コミュニティ — Twitter/Xで #blender3d タグをフォロー

まとめ

Blenderは無料でありながら、プロレベルの3Dモデリングができる強力なツールです。

  1. インストール → 日本語化 → 3D-Print Toolboxを有効化
  2. シンプルなモデル から始める(スマホスタンドなど)
  3. スカルプティング でフィギュアやアートに挑戦
  4. STL出力前 に3D-Print Toolboxでメッシュをチェック
  5. 壁厚・オーバーハング・ポリゴン数 に注意してプリント

3Dプリンターのデータ作りにまだ慣れていない方は、まず「3Dプリンターデータの作り方ガイド」で全体像を把握してから、この記事に戻ってくるのがおすすめです。

この記事は3DEngine ブログの一部です。3Dプリンターに関する最新情報やチュートリアルをお届けしています。

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